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導入事例 2026.04.22 約 10 分

商談化率で測る運用へ。CRMと連携したLTV最大化(HR Tech)

商談化率で測る運用へ。CRMと連携したLTV最大化(HR Tech)

急成長期のHR Tech企業が直面したのは、「CPLは下がっているのに事業が伸びない」という典型的なBtoBマーケティングの停滞でした。広告効率を追えば追うほど、商談の質は下がっていく。本事例では、計測軸そのものを「商談化率」へとシフトし、SFA連携によってLTV最大化を実現した6ヶ月の取り組みをご紹介します。

主要成果サマリー MQL ×2.8 月間獲得数 商談化率 +36% 14% → 19% 受注LTV ×1.6 受注単価ベース 期間 6ヶ月 支援開始から

クライアント概要

支援対象となったのは、従業員規模500名超のHR Tech企業です。創業から7年、シリーズCを完了した急成長フェーズにあり、ARRも順調に推移していました。マーケティング部門は12名体制、外部パートナーとして広告代理店2社を併用していました。

相談のきっかけは、CMOからの「広告予算は前年比1.5倍に増やしたのに、新規受注の伸びが鈍化している」という危機感でした。

支援開始時の課題

詳細ヒアリングと既存データの棚卸しを通じて、3つの構造的課題が浮き彫りになりました。

課題1:CPLしか追えていない

代理店2社へのレポーティングはすべてCPL(リード獲得単価)ベースでした。「CPLは前年比15%改善している」という事実はあっても、そのリードが実際に商談・受注に至っているかは誰も把握していなかったのです。

課題2:SFAと広告が分断されている

営業はSalesforceで商談を管理していましたが、広告アカウントとは完全に分断されていました。SFAに記録された「失注理由」や「受注プロダクト」のデータが、広告運用に1ミリも反映されていない状況でした。

課題3:プロダクト別の予算配分が均等化している

同社は3つのプロダクトラインを持っていましたが、それぞれの受注後LTVには2.5倍以上の差がありました。にも関わらず、広告予算は3プロダクトに「ほぼ均等」に配分されていました。

実施した3フェーズの再構築

6ヶ月の再構築ロードマップ 1 月1-2 SFA連携 基盤整備 計測軸の刷新 2 月3-4 予算配分の LTV最適化 投資設計 3 月5-6 クリエイティブ の質最適化 運用最適化 成果達成

フェーズ1(月1-2):SFA連携と計測軸の刷新

最初の2ヶ月は、徹底的に「測れる体制」を作ることに集中しました。具体的には、SalesforceとGoogle/Meta広告アカウントをオフラインコンバージョン(OCI)で連携し、広告クリック単位で「商談化したか」「受注したか」「受注プロダクトと金額」まで紐付けられる状態を構築しました。

この基盤ができた瞬間から、Looker Studioのレポートには「CPL」だけでなく「商談化CPA」「受注CPA」「プロダクト別ROAS」が並ぶようになりました。代理店2社にも同じKPIで報告するよう運用ルールを変更しています。

フェーズ2(月3-4):予算配分のLTV最適化

測れるようになると、見えていなかった事実が浮かび上がりました。プロダクトAは受注LTVが他の2.5倍にも関わらず、広告予算配分は均等だったのです。

そこで、許容CPAを各プロダクトのLTVと粗利率から逆算し直し、月次で予算配分を再設計しました。プロダクトAの予算は1.8倍、対してプロダクトBの予算は0.6倍に。表面上のCPAは悪化しましたが、「事業利益」では前月比+22%という結果がすぐに現れました。

フェーズ3(月5-6):クリエイティブの質最適化

最後の2ヶ月は、商談化率を上げるクリエイティブの探索に集中しました。SFAデータから「商談化したリードが流入したクリエイティブ」と「失注したリードが流入したクリエイティブ」を比較し、共通する訴求軸を特定しました。

結果、コピーを「機能訴求」から「既存業務との比較で得られる時短効果」へとシフト。CPLは7%上がりましたが、商談化率は14% → 19%へと改善し、結果的に受注CPAは大きく下がりました。

6ヶ月後の成果

指標 支援開始時 6ヶ月後 変化
月間MQL数142件395件×2.8
商談化率14%19%+36%
月間商談数20件75件×3.7
受注単価(平均)¥1,800,000¥2,920,000×1.6
CPL¥8,400¥9,000+7%
月間貢献利益¥7,200,000¥38,400,000×5.3

注目すべきは、CPLは7%悪化しているのに、月間貢献利益は5.3倍に拡大している点です。これは「CPLを下げる」発想から「LTV起点で投資する」発想へとパラダイムを切り替えたからこそ生まれた成果です。

数字以外の変化

定量的な成果以上に大きかったのは、組織の意思決定プロセスが変わったことです。

変化01
マーケと営業が同じKPI(受注CPA・LTV)で会話できるようになり、施策議論のスピードが向上
変化02
広告代理店との会話が「CPL報告」から「事業貢献の議論」へと変化
変化03
プロダクト別ROIの可視化により、新規プロダクト投入の意思決定が定量化
変化04
CMOから取締役会へのマーケ報告が「予算消化」から「事業利益貢献」へとシフト

本事例から得られた示唆

本事例は、「広告改善」という枠組みを超えて、マーケティング組織のオペレーティングモデルそのものを再構築した取り組みでした。鍵となったのは、技術的な施策よりも「測る単位を変える」という意思決定です。

BtoB SaaSにおいて、CPLやCPAを目標にしている限り、リードの質と事業利益は分断されたままです。SFAやCRMのデータを広告運用に統合し、LTVを起点とした投資判断ができる体制こそが、これからのBtoBマーケティングの基盤になります。

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